離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

（蓮斗さんと離婚するって、伝えたほうがいい……かな？　）

　一瞬、考えが巡ったが、すぐにそれを振り払う。

（蓮斗さんに、離婚届書いてもらってからの方がいいか…… 正式に決まったら、手放しで喜びそうだよね、お義母様は）


「毎回毎回、同じ事言って…… ちゃんとやる事やってるの？　我が家は剣菱家の本家なんだから、跡取り息子を作って貰わなきゃ困るのよ！　あなたは家柄も良くないんだし、子供作るくらいしか役に立たないんだからしっかりと嫁の役目を果たしなさい！　あなたの魅力が足りなくて、蓮斗さんがその気にならないじゃなくって？！　」

「…… 子供は授かりものですから、自然に任せてっと思っているんですが、なかなか…… 」

「セクシーランジェリーを着けるなりなんなりして、もっとその気にさせなきゃダメよ。　私の夫に男性が喜ぶ技を、指南させましょうか？　」


　お義母様の言葉にゾワリッとして、身体中に鳥肌が立つ。

（指南ってお義父様に？！　信じられない…… 何を考えているの……？！　…… 考えただけでも気持ち悪くて吐き気がする……　）

「…… いえ、お義父様の手を煩わせるなんて、とんでもないです。　お気持ちだけ…… 」

　当たり障りのない返事をするが、夫婦生活にまで口を出す、お義母様には正直嫌悪感しかない。