離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 火山噴火のせいで、ホテルの建設地予定地を変更しなければならなず、その代替地探し、シエナに会えない寂しさで、イライラしていた所に、なんと、あの邪魔ばかりして仕事の出来ない、白鳥が俺の元へやって来た。

「何の用だ? 」
 
「お義母様から聞いてません? 私、蓮斗さんの秘書に戻りましたのよ。 シエナさんが使えない嫁だから、せめて、秘書だけでも、蓮斗さんの為に動ける、この私を! 」

「…… いや、頼んでないが…… 」

 俺が日本に居ないからって、好き放題してるな?!

 チッっと行儀悪く、舌打ちをする。

 面倒事が山積みなのに、またしても問題を投入して来るとは、あの母は何を考えて…… いや、考えてないからこうなるのか……

「優秀な秘書を連れて来たから、お前は必要ない」

「大丈夫ですぅ。 私、仕事以外の、身の回りの、特に夜とか、夜とか、夜! お世話もしますから、うふふっ、遠慮なく言って下さい、ね」

 鼻にかかった甘えた声で、スリッっと、腕に擦り寄ると、白鳥は驚く事を口にした。

「じゃ、蓮斗さんの部屋に行きましょう、私、荷物、送っておいたんですよ」

「……は?! 」

 仕事は出来ないくせに、何故そう言う仕事は早いんだ?!

 報連相、しろよ!

 好意の押し売り、怖すぎる…… !!

 俺は縋り付く、白鳥の腕を振り払うと、直ぐに、ホテルを一室手配した。

「いやーん、蓮斗さん私の為に、スイートを取ってくれたんですの? 」

 勘違いしている白鳥の腕を、ガシッと掴むと、行くぞ!と、ホテルに直行し、部屋に放り込むと、一目散に逃げ出した。

 余計な仕事がまた一つ増えて、シエナに、メールも電話をする時間も、少なくなる事を考えて、またイライラが増して、酒の量が増える。

 ああぁぁ……、シエナに会いたい……


 
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