女の恋愛図鑑
「いい、一人で大丈夫。バイバイ。」

何か全部が笑顔になれなくて、しまったなぁ。

気遣ってくれて、ありがと。

でも、送ってもらえるほどあたし、まだ図太く無かったみたい。


確実に今、傷付いてるんだよね、早く去ってしまいたい。


地下鉄までの少しの距離を速足で歩いた。

急にこんなに寒かったっけな?と思った。

あたしもう、寒さを感じるほど、意識がハッキリしてるんだ。


悲しいとかより、何かくやしい。

あぁ~あ、女のプライドがジクジク痛い。


泣きそうだったけど、そのプライドがあたしの決壊を防いでくれる。


涙はこんな時に流すもんじゃないって、佐知。我慢しな。


はぁい……。
分かってるよ。そんな事。

お腹空いたなぁ~…何か買って帰ろうかな。混んでる電車に揺られて、あたしはiPodでちょっと哀しめな曲を聴いた。



これで、良かったんだ。


次の電車に乗換える時、たーくんがいつものように電話をかけてきた。



「もし『ごめんね』もし?仕事終わった~?おつかれ。」


これでいい。これで。
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