純恋歌
そして見事に月曜日から金曜日まで習い事が埋まり、土日は試合や発表会などで潰れる事もあり

「わたしゃスケジュールパンパンの芸能人か!」

父親に訴えた。

父は父で習い事に消える金に裏で嘆いていたらしいのでお互いの利害が一致した事で

『初めにお父さんやり遂げろって言ったけど無理して最後までやり遂げなくていいよ協定』

が結ばれた。

「どうする?何辞める?」

「合唱団入りたい。後、塾に行きたい」

「しゅ、週7になっちゃうよ!?」

父親は減らす所か増やしてきた私に狂気の沙汰を感じたらしい。

結局、塾と合唱団の二つを得てその他は辞める事とした。

私達の住む地域に合唱団はなく市内へ週1回通っていた。

同じ小学校からは私だけだった。

6年生から新たに入る子はあまり居なくまた既にグループ化もしてる為、外様の私は一人で過ごす事が多かった。 

習い始めの頃は一人で過ごす事は平気だった私だが、今までの習い事は誰かしら同じ学校の子が居たので話し相手が居た。

それに電車に乗って遠くまで通うのでさえ一人なのに、合唱団の中でもぼっちと言う状況に段々と辛くなっていた。

そんなある日、合唱団の出入り口付近で中に入れず固まっていた。

理由は通り道にセミが腹を見せひっくり返っているのだ。

以前、塾に行く時セミが通り道を邪魔してた時に怖くて固まったが

(死んでるから動かないからいけるだろ)

そう思って払い除けようとしたら

ジジジジ!バタバタバタバタ!

セミが飛び始めた。

「ぎゃーーーーー!!!!」

「うわーーーーー!!!!」

『最後に死ぬ前にコイツを巻き添えにしてやる!』

まるでそう言うかのようにセミは私に何度もアタックしてきた。しかも顔にも当たった最悪。

その為、セミが腹を見せてようが

(コイツらは死んだふりをしてる)

信じない事に決めた。

害虫じゃないとか刺されないとか毒がないから大丈夫とかそんな問題じゃない!

私は虫が怖いのだ。

特に虫のお腹の柔らかい部分とか想像するだけで体が痒くなる。
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