純恋歌
「じゃあ高校に合格したら行こうか!チケットが取れたらの話しだが」

先生の提案に

「しゃあ!約束ね!」

「先生俺も俺も!」

クラスの生徒達も何人かその話しに乗っかった。

「はぁ!?お前らさっき俺をバカにしたじゃないか!ダメダメ!真のファンじゃないとダメダメ!」

俺が必死になって阻止する姿にクラスの何名かは若干ひいていた。

放課後、罰の掃除を済ませて

「もいちど好きって聞かせてほしいー」

モー娘。に高校生になったら会えるかもと上機嫌になり家路に着いた。

「ただいまー!……ってまだ仕事か」

時刻は18時。

今日はなんだか素直になれる気がする。

「今までゴメン」

シチュエーションを想定して何度も謝る練習をした。

時刻は19時。

なんだよ今日遅えなと思いつつも特に深く考えず仕事終わりに買い物でもしてんのかな、ぐらいにしか思ってなかった。

19時半。

小腹が空いたから菓子パンを食べてたら一本の電話が鳴り、母さんが事故にあった為、病院に来て欲しいと言われた。

電話を切り、病院の名前と場所をメモした紙を見て頭をぽりぽりかいては場所もよくわからないしどうやって行こうか困った。

特に大丈夫だと思って深刻には捉えてなかった。

「もしもし、どうした?」

「先生悪いんだけど、母さんが病院に運ばれたらしくて連れてってくれん?」

井上先生にお願いをした。

本来なら親族とかにお願いするんだろうけど、残念ながらウチには親戚が居ない。

なぜなら両親共に児童施設出身だから。

その為、血の繋がってない知り合いは多いが俺からは中々お願いしにくくまだ井上先生が1番お願いしやすかった。
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