そのラインを越えて

周りからは派手な見た目で「不良」と怖がられることがある。

私としては、不良になったつもりなんかないんだけど。

好きな恰好をして、好きなように過ごしているだけ。

「不良」じゃなくて、「ギャル系」って思ってるんだけどなあ。



「ウチらみたいなギャル系女子をK高の優等生が怖がっても不思議じゃないじゃん?よくあることだよ。でもまぁ、お礼は言えたんでしょ?もうこれっきりでいいじゃん」



ゆっこが冷めた口調で言った。

金色に染めたゆっこの髪の毛に、日差しが当たってキラキラ輝いている。

これっきり。


「……」



私は黙る。

ゆっこはそんな私に、
「何?」
と、聞いてきた。



「実は、また会うんだよね」

「は?」

「次の日曜日に会う約束させた……、それも無理やりに」



あのあと。

白ネコから助けてもらったすぐあと。

私は蒼生くんの予定をまるっきり無視する形で、「絶対に来いよ!」なんて言い放ち、次の日曜日にN駅前での待ち合わせを一方的に約束。

返事を待たずに走り去ったんだよね……。


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