そのラインを越えて

日曜日はすぐにやってきた。



「どうしよう?」



結局、私は乃愛から借りた黒地に白い小花の模様が入った、マキシ丈のワンピースを着て、ゆるふわなキャメル色のカーディガンを羽織り、鏡の前で悩んでいる。



似合わない。



なんていうか、私じゃない。



「無理してます感が、満載な感じ」



蒼生くんは、こういう服を着た女の子が好きなのかもしれない。

いや、分かんないけど。

でも。

普段の私のギャル系の服装よりかは、好きなのかも。



(この服、着て行ったほうが無難かも)



分かってる。

分かっては、いる。



「蒼生くんに、好感持たれたい」



だって。

好き、なんだもん。

恩人だからっていうことを抜きにしても。

人のために行動を起こせる蒼生くんが、その優しさや、勇気が。

本当に好き。

尊敬もしてる。



「そんな人に、わざわざ嫌われるような恰好をするの?」



独り言をハッキリ呟く。

鏡の中の私に向かって、問いかけるように。

< 24 / 41 >

この作品をシェア

pagetop