そのラインを越えて

ギャル系女子が苦手なんでしょう?



「え?ものすごく具合悪そうだったから、です」



蒼生くんは私を見ないまま、答えてくれる。



「具合悪そうで、このまま放っておけないって思って。気づいたらスマートフォンでN高の電話番号を検索していて……」



当たり前のことを、何故聞くんだ?みたいな蒼生くんの表情。



(ズルいなぁ……)



蒼生くんは、蒼生くんのままで。

簡単に私の恋心を膨らませてしまうんだから。



(本当に優しい人なんだなぁ)



その時。



「すみません!」



ブランコの近くに、泣きべそをかいた少年がやって来た。

小学校低学年くらいに見える。



「スマホ、スマホを貸してくださいっ」



ただならぬ様子に、私はブランコからおりて、少年のもとへ行った。

蒼生くんも続いて来てくれる。



「あんた迷子?大丈夫?」



< 32 / 41 >

この作品をシェア

pagetop