チケットをご用意することが出来ませんでした。


高校時代からつるんでいた悪友もとい親友の加賀結花から、合コンのお誘いが来たのは10日ほど前だった。


親族経営しているそれなりに大きな商社で事務職として働いている私は、丁度午前の仕事を片付けて休憩室でお弁当を食べながらSNSのタイムラインを徘徊していた。

その休憩時間を狙ったかのように、結花からトークアプリへメッセージが届いた。


【茜、合コンやるよ!】


ふんす、と鼻息荒いゴリラのスタンプが続けざまに送られてくる。


自分とは違って恋活に積極的な結花は、毎週末マッチングアプリを駆使して都心に出かけているらしい。

その報告かと思って、【いいじゃん、楽しんで〜】と返信しようと文字を打っていると、返事をする間もなく二文目が来た。


【あんたは強制参加だから。そろそろ現実の男を見ろ】

「はあ!?」


スマホを片手にガタンと立ち上がる。


周りの視線が背中に刺さって、背を丸くして慌てて座りなおした。


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