エリート副操縦士は年下妻を過保護に愛を注ぎたい。
君と出会ったのは運命だと思う。



「じゃあ、榎本(えのもと)さん。よろしくお願いします」

「はい。いってらっしゃいませ」


 私はいつも来てくれているヘルパーの榎本さんにそう言って、寝たきりでベットに寝ている祖母に「行ってくるね」と声を掛けて家を出た。
 家を出てすぐ目の前にあるバス停に並び、時計を見る。今日は、間に合ってよかった……まだ余裕がある。少し汚れているデザインが少し古い腕時計を見てため息をつく。

 私は、雛野 柚葉(ひなのゆずは)。大学二年の十九歳で、両親はいない。幼い頃に離婚し、母は病死した。その後は祖父母に引き取られ住んでいたのだが、祖父も一昨年他界。今は古い一軒家に祖母と二人暮らしている。
 祖父が亡くなってから、祖母は落ち込み寝込みがちになってしまって私が大学生になってすぐにアルツハイマーと診断され私が大学に通っている時とバイトに行っている時はヘルパーさんにきてもらっている。






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