歳の差 ~15歳年下男子は、恋愛対象ですか?~
「えー?」
「なんて言うか、ずっと『できて当たり前』みたいなとこにいたんで」
「ふーん・・・」
目の前の伝票の束を黙々と処理していく北原くんを見て、きっと練習やリハビリも地道に努力してきたんだろうなと思った。
それにしても・・・。
仕事の時だけ掛けるメガネ姿がカッコいい。
昔から、メガネの似合う男性に弱いのだ。掛けたり外したりするところにキュンとするなぁ。
ブブ・・ブブ・・
デスクの上に置いたスマホが震えて、見惚れていた自分にハッとした。
届いたメッセージの送り主は、中谷さんだった。
そうだ、今夜約束してたんだっけ・・・魚貝の美味しいワインバーと書いてある。
この間の中華とは大違いの洒落たお店だ。
ここって、誘われて気軽に食べに行くようなお店なんだろうか。
なんだか、今日は落ち着かないな・・・。
「原田さん!」
「あ、中谷さん。お疲れさまです」
お店のある最寄りの駅で、中谷さんと待ち合せた。
「店、行きましょうか」
「はい」
お店に入り、お酒のリストがテーブルに届いた。
「原田さん、何にする?」
「えっと、お料理は何を頼みます? それに合わせようかと」
「魚貝中心で頼んであるけど」
「じゃあ、スパークリングワインを」
「俺は・・・」
「同じにしましょ。飲みやすいし、ワインに慣れてなくても美味しく飲めますよ」
サーブされたスパークリングワインを飲みつつ、牡蠣を食べたり海老を食べたりしながら、やっぱり仕事関係の話がほとんどだった。
いつも仕事の話だよね、そう言って苦笑いした中谷さんのグラスは、一度も空になることはなかった。
飲みやすいとは言ったものの、意識して控えているのだろう。
なんだかそれを見ていると、この後のことが想像できる気がして、私もワインが喉を通らなくなった。
沈黙になる度に、ドキドキした。
「ごめんなさい、ちょっとお手洗いに」
「あ、うん」
耐えきれなくなって、思わず席を外した。
トイレの鏡に写る自分を見ながら考えた。
中谷さんに付き合ってほしいと言われたら、どうする?
・・・何も浮かばなかった。
YESもNOも、どちらも。
もちろんいいなと思うところはあるし、一緒に仕事をしていて嫌な思いをしたことは一度も無い。
そうなんだけど・・・。
「そろそろ出ましょうか。あ、今日はちゃんと俺が払いました」
「ふふ。ごちそうさまでした。美味しかったです」
「それは良かった。またぜひ」
お店を出て駅に向かって歩こうとした時、立ち止まっていた中谷さんの右手が、私の左手首をつかんだ。
きた・・・。
予想しつつ振り返ると、普段の何倍も真面目な顔で私を見ていた。
「原田さん。俺と・・・付き合ってもらえないかな。返事はいつでもいいから。考えてみてほしい」
そう言い終えて、中谷さんは私の手首を離した。
「ほんとに急がなくていいから。じゃ、おやすみ」
先に駅に向かう後ろ姿を見送りながら、大きな宿題をもらったなと思った。
でも・・・助かった。
あの場で返事を求められたら、どう答えたら良いのか分からなかったから。
とはいえ、どうしよう・・・。
「なんて言うか、ずっと『できて当たり前』みたいなとこにいたんで」
「ふーん・・・」
目の前の伝票の束を黙々と処理していく北原くんを見て、きっと練習やリハビリも地道に努力してきたんだろうなと思った。
それにしても・・・。
仕事の時だけ掛けるメガネ姿がカッコいい。
昔から、メガネの似合う男性に弱いのだ。掛けたり外したりするところにキュンとするなぁ。
ブブ・・ブブ・・
デスクの上に置いたスマホが震えて、見惚れていた自分にハッとした。
届いたメッセージの送り主は、中谷さんだった。
そうだ、今夜約束してたんだっけ・・・魚貝の美味しいワインバーと書いてある。
この間の中華とは大違いの洒落たお店だ。
ここって、誘われて気軽に食べに行くようなお店なんだろうか。
なんだか、今日は落ち着かないな・・・。
「原田さん!」
「あ、中谷さん。お疲れさまです」
お店のある最寄りの駅で、中谷さんと待ち合せた。
「店、行きましょうか」
「はい」
お店に入り、お酒のリストがテーブルに届いた。
「原田さん、何にする?」
「えっと、お料理は何を頼みます? それに合わせようかと」
「魚貝中心で頼んであるけど」
「じゃあ、スパークリングワインを」
「俺は・・・」
「同じにしましょ。飲みやすいし、ワインに慣れてなくても美味しく飲めますよ」
サーブされたスパークリングワインを飲みつつ、牡蠣を食べたり海老を食べたりしながら、やっぱり仕事関係の話がほとんどだった。
いつも仕事の話だよね、そう言って苦笑いした中谷さんのグラスは、一度も空になることはなかった。
飲みやすいとは言ったものの、意識して控えているのだろう。
なんだかそれを見ていると、この後のことが想像できる気がして、私もワインが喉を通らなくなった。
沈黙になる度に、ドキドキした。
「ごめんなさい、ちょっとお手洗いに」
「あ、うん」
耐えきれなくなって、思わず席を外した。
トイレの鏡に写る自分を見ながら考えた。
中谷さんに付き合ってほしいと言われたら、どうする?
・・・何も浮かばなかった。
YESもNOも、どちらも。
もちろんいいなと思うところはあるし、一緒に仕事をしていて嫌な思いをしたことは一度も無い。
そうなんだけど・・・。
「そろそろ出ましょうか。あ、今日はちゃんと俺が払いました」
「ふふ。ごちそうさまでした。美味しかったです」
「それは良かった。またぜひ」
お店を出て駅に向かって歩こうとした時、立ち止まっていた中谷さんの右手が、私の左手首をつかんだ。
きた・・・。
予想しつつ振り返ると、普段の何倍も真面目な顔で私を見ていた。
「原田さん。俺と・・・付き合ってもらえないかな。返事はいつでもいいから。考えてみてほしい」
そう言い終えて、中谷さんは私の手首を離した。
「ほんとに急がなくていいから。じゃ、おやすみ」
先に駅に向かう後ろ姿を見送りながら、大きな宿題をもらったなと思った。
でも・・・助かった。
あの場で返事を求められたら、どう答えたら良いのか分からなかったから。
とはいえ、どうしよう・・・。