The last nightーあの日みたものはー
その頃から深鈴は上手く笑えなくなって行った。

笑うだけじゃない、泣くことすらも出来なくなった。

小学校に上がる頃には、完全に人を信用しなくなった。

それでも、笑わなきゃ不利だって思って作り笑いをするようになった。

誰も気づかないんじゃないかってぐらい完璧な笑顔だった。

そんな深鈴が唯一、自分の気持ちを曝け出すことが出来たのが両親のお墓の前だった。

小さい頃からずっと苦しんできた深鈴は自分が病気だと知った時やっと死ねるって喜んでた。

長年、あたしの前でも作り笑いしかしてこなかったのに素で笑った。
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