いつでも側に〜一途な両片想い〜
 家から一歩出るとお母さんは、完璧な母になる。私より女優なんじゃないかと思うほど演技が上手だ。

 家の中では、最低限の家事だけしていて、いつも物が溢れていた。

 いつからか、衣装部屋を借りていたようだ。

 毎日毎日、撮影やレッスンに行く。

 小さい頃からずっとなので、生活の一部で嫌ではない。ただ、小学校の勉強がわからなくなるのが嫌だった。

 友達もできるはずなく、学校では席に座りひたすら教科書を眺める。すると、台本を覚える感覚で、内容が暗記出来る。

 でも、算数は解き方の説明を聞き逃すと、わからないところが出てくる。

 レッスンの合間に、隅のベンチで教科書を見ていると、優しそうなお兄ちゃんが声を掛けてくれた。
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