いつでも側に〜一途な両片想い〜
 撮影は、お母さんの喜ぶ顔が見たくて頑張っていた。

 いつからか、お母さんの視界に私が入っていないことに気づいた。ただただ、周りに自慢したいだけの娘。

 物心ついた時から、どうしたら大人が喜ぶかがすり込まれている。自分がやるべきことが……。

 嫌だと言っても聞いてもらえないだろう。

 いつからだろう?気づいていた。私が、働いたお金で生活していることを……。

 ただ、お母さんが笑っているならいいかと、子供の私にはそれ以上どうすることも出来なかった。

 無性に辛くなるときもある。そんな時は、心を無にする。すると何も感じなくなる。

 毎日が決められた日々……。

 それでも、カメラの前では演じ続ける。

 辛くなったら、私の中のヒーロー直人お兄ちゃんを思い出す。

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