婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 私は立ち上がってディアナを迎えました。

「フローラ、教室に戻りましょうか?」

「ええ、そうしましょう」

 立ち去る前にもう一度ビビアン様に視線を移しました。もうすでに他の話題に夢中なのか談笑しているようです。

 レイ様の名前を聞いたから動揺してしまったのね。

 素敵な方だもの。

 私が知らないだけで時には令嬢のうわさになるのかもしれないわ。


「昨日はどうだったの? リチャードの家庭教師は無事に済んだの?」

「ええ、お褒めの言葉を頂いて、また来週もお願いしたいって、アンジェラ様から直にお願いされたわ」

「そうなのね。よかったわ」

 教室までの道のりを歩きながら、心配げにディアナが話しかけてきました。
 教師の依頼が来たあとにディアナにも報告していたので、昨日が初めての授業だと知っています。

 自分の一存では決められないので、両親に相談をしてお受けすることにしました。
 でもなぜ私に話が来たのでしょう?
 学生ですし、社交界にあまり顔を出す方ではないですから、話す機会もないのに。
 サンフレア語が話せることを誰から聞いたのでしょう?
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