婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 そういえば……
 クッキーで話が飛んでしまいましたが、手紙の件はどうなったのでしょう。

「ところで、お母様。レイニー殿下より時々手紙が届くと思うのですが、よろしいですか?」

「それは、あなたが良ければよいのだけれど、どんな経緯で手紙をやり取りすることになったの? レイニー殿下もお忙しい方でしょうし」

 私は昨日の出来事をお母様に説明しました。

「サンフレア語でって。まあ、難度の高いことを……」

 お母様はビックリ眼で話を聞いています。
 普通は考えもしないことでしょう。母国語と違って難しいですから時間も取られますしね。

「それで、さっそくお手紙が届いたのですけれど」

「えっ? 昨日の今日で?」

 お母様もまたもやビックリしています。
 やっぱり、そうですよね。
 
 約束はしたものの果たされるかどうかは、あまり期待はしていませんでした。
 その時のノリで、ついうっかり口にされたのかもしれませんしね。
 ですから、私もまさか今日だとは思いませんでした。ちょっと苦笑いです。

「はい。それで、その内容が……北の宮の珍しい花を見に来ないかというお誘いでした」

「そう。それで、フローラはどうしたいの?」

 お母様は優雅な仕草で紅茶を飲むと私に問いかけました。
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