素直になれない…
重苦しい空気に包まれた平石家のリビング。

藍ちゃんと奏多さんが並んで座ったソファーの向かいに私が座り、すぐ横には雄平が仁王立ちになっている。

「昨日、約束したよな?」
私に向けられた雄平の言葉。

「うん」
した。
「家に連絡したんだよな?」
「・・・」
していませんとは言えなかった。

「藍っ」
「だって、」
「だってなんだ?」

「言えるわけないじゃない。なんて言うのよ」

セフレとの間に子供ができて、一人で育てますって言えるわけない。
相手が雄平だってことがバレれば、雄平の立場だって悪くなるのに。

人前で泣いたことなんてないのに、なぜか涙が溢れた。

「藍さん、落ち着いて」
いつの間にか隣に来ていた芽衣ちゃんにハンカチを渡され、目頭を押さえる。

「雄平、ちょっと来い」

私を睨んだまま動かない雄平の腕をつかみ、奏多さんが部屋の外へと連れだした。
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