エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

楓より五つ年上のため現在は三十一歳。大学生だった当時も容姿に優れていたが、すっかり大人の男へ成長している。


「……どうしてここに?」


楓が大学生のときに、彼の海外赴任がきっかけで別れたきりだ。


「どうしてって私が呼んだんだ」


英太に聞いたが、答えたのは芳郎だった。
てっきりふたりきりで食事だと思っていたため、予想外の人物に動揺を隠せない。元彼だからなおさらだ。


「とりあえず座ったらどう?」


英太に促されて芳郎の隣に腰を下ろすなり、スパークリングワインが運ばれてきた。

言われるままに乾杯とグラスを傾ける。


「いつ日本に?」


仕事の都合で海外に行って、それきりだった。
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