初恋は海に還らない
誰も助けてくれない





 貴方に出会うまで、私の世界は文字の海の中にあった。


 何にも染まらず、汚されないよう身を縮め、ひたすら物語の世界に溺れる。


 だけど、やがて耐え切れなくなって、消えてしまおうと思ったの。


 
 でも、貴方が掴んだ私の命は、次の瞬間色付いた。


 私が私で居る意味を、貴方は教えてくれた。貴方が私に教えてくれた世界が、私の全てになった。



 お願い、また会いたい。知ってる、もう会えない。


 ────あの街の海は、初恋を還してはくれないから。



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