初恋は海に還らない




「……夢か」
「夢って何。今日は洸の命日なんだから、墓参り行くってずっと言ってただろ?」
「分かってるよ……けど昨日やっと締め切り終わって、気が抜けちゃって……」



 ただ今朝の八時、仕事部屋の散らかった机の上には積み重なった資料やエナジードリンクの缶、ノートパソコンと、恐ろしい散らかりっぷりだ。締め切り前の修羅場感が見て取れる。


 洸が亡くなってから暫く何も手につかなかったけれど、定時制高校に通いながら徐々にWEB投稿サイトに小説を出し始め、大学在学中に運良くコンテストに入賞した。


 そこからまた、運良くコンスタントに仕事を貰えている現状だ。



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