初恋は海に還らない




「俺、彫り師なんだよ」
「え?」



 ────彫り師? 彫り師って……刺青を彫る人のこと? 


 未知との遭遇に再び固まった私を見て、洸は良いこと思いついたとばかりに、こちら向かって身を乗り出した。


 洸の身体の正面にも、胸や脇腹、至る所にいくつもタトゥーが彫られていて、思わず見入ってしまう。



「しばらく予約ないし。見に来るか? 俺の店」
「へ、え……いいの?」
「良いから聞いてんだろ。それなら一回着替えてまた集合な。迎えに行く」



 純粋な好奇心、そして久しぶりに感じる高揚感に身を任せ、私は深く頷いた。





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