初恋は海に還らない
「それじゃあ、出るよ」
父が私に声を掛け、ゆっくりと車が動き出す。私は思わず窓を開けた。そして──。
「──洸、私も幸せだったよ!!」
車がどんどん進み、遠さがる洸に、人目を気にせず叫んだ。
洸はそんな私を見て破顔して、両手を大きく振っていた。そうして、洸の姿は見えなくなった。
何で笑うの、こっちは涙が止まらないのに。
潮風を感じながら、ここへ来た時の海沿いの道路を、車は反対方向に進んでいく。私は段々と見えなくなる海を最後まで見つめていた。