君の隣だから、笑顔。〜あまのじゃく男子は、いつもイジワル〜
「そっか、佳那って野山くん好きなんだ……前は推しって言ってたから、どうなんだろうって思ってたけど」

佳那の気が収まって、ひとしきり落ち着いた頃。
私が気を取り直してそう言うと、佳那は赤くなりながら続けた。

「最初は…推しだったけど。いつの間にか…好きに、なってた」

「佳那、顔、真っ赤」
恥じらっている佳那は、ウサギよりずっとずっと、本当に可愛くて。

ーー恋してる女の子は、本当に可愛い。

よく漫画とかで見るこの言葉って、本当だったんだな、と、思った。

野山くんがいるからって、わざわざ大変な生徒会にまで入って、努力して。佳那は、小学校の時とは、全然違う。

「佳那はこんなに努力してんだもん、頑張ってね、野山くんとの恋」

「うん……」
佳那は、自信なさげにうなずいた。

何よ、佳那。いつもは自信たっぷりなくせに、野山くんのことになると急に自信なくすとか。

「んで……」
私は、ニヤリと笑った。

「さっきは、彼氏さんと何話してきたんですか〜?」

からかいの精神。予想通り佳那は、一瞬にして茹で上がった。

「かっ…彼氏じゃないし! 生徒会の会議で呼ばれたんだし。…た、体育祭のことだよ」

「佳那、真っ赤。あはは。……体育祭、かぁ……」

ーー体育祭。
6月くらいに行われる、全校生徒が参加する一大行事だ。生徒会は、その運営に追われているらしい。
入学したばっかなのに、大変だな。

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