惚れたら負け─お前のこと好きになった─
「うん。分かった!じゃあ、また明日ね。」


私は文香ちゃんを笑顔で見送ってから、誰もいなくなった教室を探し回った。


だけど…20分探しても見当たらない。


っっ、私…何してるんだろう。大切なものなら尚更無くしちゃいけないのに…。


じわっと目の縁に涙が溜まって、地面へと落ちる。




「おい、お前何してんの。」


ドックン!!


この声は…一ノ瀬さん。


なんで、タイミング悪すぎるよ…。


それに今、私は泣いてる。この人に見られたら、絶対バカにされる。


いや、見たところで何も言わないで去っていくかもしれない。


この人に弱みを握られたくなくて、私は乱暴に目元の涙を拭った。


「何でもない。」


「は?嘘つけ。声震えてる。」


私の方へと近づいてくる足音。


やめて…来ないで…
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