気だるげオオカミの不器用ないじわる






「ほうきは可愛川さん、よろしくねー」



太陽がほぼ真上に昇ったころ。

わたしは苦笑いしながら、目の前の状況にひたすら耐えていた。



掃除の時間、中庭担当。

さっきから、一生懸命ほうきでコンクリートを掃いているのに、横にいるふたりのクラスメイトは、スマホばっか。




ほうき"は"って言ったよね?

ほうきもごみ捨ても、ぜんぶ、わたしがやってるんですけど。



「彼氏がさ〜」


惚気話でもしているのか、スマホを見ながらはしゃいでいる。

ちらっと盗み見た画面には、心底優しそうな茶髪イケメンがこっちを見てはにかんでいた。





微笑ましすぎて、くやしい。

なんで、掃除押しつける子にイケメン彼氏がいて、ちゃんとやってるわたしには惚気話のひとつもないの!?


ひとりで百面相してる顔が中庭から唯一見える窓ガラスにうすーく映ってて、とたんに悲しくなる。うぅ、風が冷たい。
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