犬系男子が可愛くてたまりません
亮介の世話

顔色の悪い亮介さんも戻って来たが壁にもたれていた

しんどそうだ

歓迎会は終了になりみんなバラけていく

「亮介さん、帰りますよ」

「うん」

穂乃香は3人分の鞄を持っていた

「立てますか?」

「うん」

返事してるけど体は動かない

真由香は亮介の懐に入り肩に亮介を担いだ

「よっ!」

「お兄ちゃん、立って!真由香が重いでしょ」

「うん」

「返事だけじゃん!」

穂乃香は随分ご立腹のようで……

「ゆっくりでいいから立ちましょうね」

真由香は身長も高いので亮介ともそこまで差はない

でも、いくら細身の亮介でも力が抜けてると流石に重い

とりあえず立つと前に進んでくれたのでまだ意識はあるようで……

3人で店を出て歩き出した

「いつもなら10分くらいで着くのになぁ」

「そんなに近いの?」

「うん、まあ飲み会の為に借りたようなものだからね、駅近くで、飲み屋街を借りたんだし」

家賃も高いんだろうな〜

ゆっくり20分ほど歩くと穂乃香が止まった

「ここの12階」

真由香は見上げた

「綺麗なマンションだね」

最上階?

穂乃香がボタンを押してオートロックを解除する

エントランスもホテルみたいに広かった

エレベーターに乗ると亮介さんがうっと一言声を出した

「穂乃香、12階についたらすぐ玄関あけてトイレのドアをあけてくれる?」

「えー、吐くの?」

「多分、エレベーターの揺れは気持ち悪いはず」

12階で降りて穂乃香は走り出した

1番奥の角部屋だった

鍵をあけてドアもあけてもらった

「穂乃香、靴も脱がせて」

「わかった」

「亮介さん、もう少し我慢しましょうね」

もう返事は返ってこなかった

トイレで亮介さんをおろしてそっとドアを閉めた

「間に合ったね」

中からは吐いているつらそうな声が聞こえてくる
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