社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
***

それでね(ほいでね)鏡花(きょうか)がどぉーしてもくるみちゃんに会わせろってうるさいんよ」

 はぁ〜っと盛大にため息を吐きながら携帯を握りしめたら、通話口からクスクスと愛らしい笑い声が聞こえてきた。

『なんちゅうか、ホンマ鏡花ちゃんらしいね』

 耳馴染んだ心地よいくるみの声が、笑い声に混ざって実篤(さねあつ)の鼓膜を震わせる。

 携帯から聞こえてくる声は、およそ二千パターン用意されている「音声の情報データ」から検索をかけ、「似た声」を合成したものらしい。

 そのことを知った時、何じゃそれ?と思った実篤だったけれど、いまこうしてくるみと話していても、聞こえてくる声は彼女の声そのものに聴こえるのだから、技術というのは本当に凄いなと思う。

(ってそんなんどうでもええわ)


「今夜鏡花だけじゃのぉて弟の八雲(やくも)も……ついで言うとうちの両親も帰って来るんじゃけど……その……」

 鏡花は「夕飯を一緒に食べよぉ?って誘うてみんさい」と提示してきた。

「もしそれでくるみちゃんが来たらお兄ちゃんの【妄言】が真実じゃったって信じちゃげる」

 そうせっつかれた実篤だったけれど。
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