社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
6-4.焼けぼっくいに火はつくか?
 鏡花(いもうと)から、お迎え要請に即時対応出来るよう、会場近隣での待機を命じられた実篤(さねあつ)だ。

 別に律儀に守らなくてもいいのだが、くるみが一緒だと思うとやはりその場を離れ難くて。

 とりあえず、と思って同窓会会場近辺の駐車場に車を停めて、ホテルに入ってはみたものの、二十時を過ぎた今、暇潰しのあてにしていた一階ロビーのカフェは営業時間を終えていた。

(マジか! それでは(ほいじゃあ)俺、どうやって時間潰したら()えん? 喫茶店がダメじゃったけぇと言って(っちゅーて)最上階のバーに行って酒を飲むわけにもいかんし)

 運転手要因としてここに来ている以上、アルコールは厳禁だ。

(あ、だけど(ほいじゃけど)最近はノンアルコールも結構あるっちゅーよな。ほら、前に田岡さんが言いよったアレ。何ちゅーんじゃったっけ)

 確か〝何とか〟という呼び名までついてブームになっているのだと、前に事務員の田岡が言っているのを聞いたことがある。
 彼氏とデートする際に、どちらかが〝何とか〟を飲むようにして、タクシー代を浮かせているとか。
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