社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
かつて文豪・夏目漱石が「I Love You」をそう訳したというエピソードは結構有名だ。
(くるみちゃん、まさかそれを知っちょって……?)
などと思うのは自惚れが過ぎるだろうか。
そう思う反面、もしそうならば……とも期待してしまう。
その場合OKの際の常套句は二葉亭四迷の「Yours」だが、そう返すのは、男として何か違うじゃろと思った実篤だ。
少し考えて、実篤は「くるみちゃんと見る月じゃけぇ」と応えてみた。
これからもずっとずっとくるみと月を見ていたい、一緒にいたいという気持ちを込めたつもりだ。
だが、変化球が過ぎたのだろうか。実篤の言葉に、くるみがピクッと肩を跳ねさせて、不安そうにじっと実篤を見詰めてきた。
その表情を間近で見て、実篤は覚悟を決める。
「……あんね、くるみちゃん。もぉ気付いちょるかも知れんけど……俺、キミのことが好きなんよ。もし――もしも嫌じゃなかったら、その、……お、俺の彼女になってくれん?」
実篤がそう言ったと同時、くるみがポロリと一粒涙を落として、嬉しそうに微笑んで、ギュッと実篤に抱きついてきた。
「実篤さん、凄い嬉しい! うち、もう〝死んでもええ〟わっ」
言われて、「いや死なんといて!」と思わず眉根を寄せたら、「物の例えですけぇ」とクスクス笑われた。
実篤はくるみのその顔が、とても可愛いな、と思った。
(くるみちゃん、まさかそれを知っちょって……?)
などと思うのは自惚れが過ぎるだろうか。
そう思う反面、もしそうならば……とも期待してしまう。
その場合OKの際の常套句は二葉亭四迷の「Yours」だが、そう返すのは、男として何か違うじゃろと思った実篤だ。
少し考えて、実篤は「くるみちゃんと見る月じゃけぇ」と応えてみた。
これからもずっとずっとくるみと月を見ていたい、一緒にいたいという気持ちを込めたつもりだ。
だが、変化球が過ぎたのだろうか。実篤の言葉に、くるみがピクッと肩を跳ねさせて、不安そうにじっと実篤を見詰めてきた。
その表情を間近で見て、実篤は覚悟を決める。
「……あんね、くるみちゃん。もぉ気付いちょるかも知れんけど……俺、キミのことが好きなんよ。もし――もしも嫌じゃなかったら、その、……お、俺の彼女になってくれん?」
実篤がそう言ったと同時、くるみがポロリと一粒涙を落として、嬉しそうに微笑んで、ギュッと実篤に抱きついてきた。
「実篤さん、凄い嬉しい! うち、もう〝死んでもええ〟わっ」
言われて、「いや死なんといて!」と思わず眉根を寄せたら、「物の例えですけぇ」とクスクス笑われた。
実篤はくるみのその顔が、とても可愛いな、と思った。