社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
(くるみちゃんをお持ち帰りして家に泊まらして……俺、我慢出来るん?)

 男だから好きな女の子を抱きたくないといえば嘘になる。
 だけど、「欲望のままに手を伸ばすのはダメじゃろ。くるみちゃんは鏡花(いもうと)と同い年じゃぞ!」とブレーキをかける自分がいることも確かなのだ。


「〝か〟?」

 そんな実篤(さねあつ)の迷いを見透かしたみたいにくるみに先をうながされて苦し紛れ。
「〝か〟っ……、〝カ〟ナリアのフンとか降ってくるかもしれんよ?」
 自分でもわけが分からんことを()うてしもぉーたと後悔した実篤だ。

 なのにそれを受けたくるみが、至極真剣な顔をして「ここら辺、カナリアがおるんですかっ? (さむ)ぅて死んだりせんのんですかっ? (はよ)ぉ捕まえて保護しちゃげんと可哀想です」と眉根を寄せてきたからたまらない。

「あ、……うん。そう、じゃ……ね」

 実篤は嘘をつくことの罪深さを身をもって実感しながら思った。

(「か」のつく鳥なら〝カ〟ラスの方が現実的じゃったわぁー! 失敗したぁ!)
 と――。
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