eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
マンダムさんの部屋の前に着き、呼び鈴を押すと重たそうなドアが開いた。

「よく来たでござるな。ヤマト氏、ソウマ氏、ハル氏……ってハル氏は女性だったのでござるか⁉」

「あ、僕言うの忘れてた。マンダムごめん」

マンダムさんは大げさに身振り手振りをしながら話す。

「ぎょえ~! アタックウォリアーズ界隈でトレンドにもなったプレイヤーがまさかの女性だったとは‼ ゲーム界の女神爆誕キタコレ⁉」

「ちょ、マンダム声でかいっ」

ヤマトが慌ててマンダムさんの口を手で塞ぐ。

「マンダムさん、初めまして……って女性はそんなに珍しいんですか?」

「……取り乱してすまぬ。ハルたん、初めまして。質問へのアンサーですが、はっきり言うと珍しいでござる。エンジョイ勢は多いですが、競技シーンで活躍しているヤマトと戦う女性プレイヤーなんて、指で数えられる程度でござろう」

マンダムさんはずいずいと近づいて説明をしてくれる。
それをヤマトが押し返していく。

「と、とりあえず中に入ろう」

ヤマトが興奮しているマンダムさんをどうにか落ち着かせ、私達は部屋に入る。

マンダムさんは眼鏡を掛けていて、なんだか想像通り……といった印象だった。
だけど、メガネの奥に見える目は切れ長で、上品な顔をしていると思った。

「いやはや、取り乱してすまぬ。拙者もハルたんのテクニックには惚れ惚れしていたので、驚いてしまったのですよ。オタクだらけのむさ苦しい宅オフですが、ゆっくりしていってください」

「ヤマトはまだしも、僕はむさ苦しくないでしょ」

3人は笑っていて、本当に仲が良さそうだった。
ここだけを見ると、どこにでもいる男子高校生のように思える。

マンダムさんの部屋はとてもキレイに片付けられていた。何人も座れそうなソファーはふかふかで、座り心地が良すぎる。

「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」

私がそう答えると、マンダムさんは手を額の前にビシっと掲げ、敬礼ポーズをした。

「それでは、さっそくやっていきましょうぞ~‼」
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