eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
「つ、疲れた……」

私は充血した目を擦りながら、自宅のドアを開けた。

「ただいま……」

「おかえりー」

いつも通り、キッチンの方からお母さんの声が聞こえた。

手洗いとうがいをして、キッチンに向かう。

「遅かったわね」

夕ご飯を作る手を止めて、お母さんは私を見た。

「……もう、大丈夫そうなの?」

「なにが?」

「この前からしばらく元気なかったから。今日も疲れた顔してるけど、なんとなく顔色がいいように見える」

――困ったな。やっぱり、お母さんに隠し事はできない。

「あのね、お母さん。実はこの前すごく辛い出来事があったの。でも、それを乗り越えるために今努力してて……私を応援してくれる人もいてさ。夏休みの間、その目標に向かって頑張りたいの」

ゲームの大会に出る……とは言えなかった。お母さんは、小さく微笑む。

「わかった。ただ、無理だけはしないでね」

「うん。ありがとう」

「精一杯がんばりなさい」

お母さんのその言葉に胸が熱くなる。
夕食の準備をしているその背中が、とても大きく見えた。


「お母さん大好きっ」

「気持ち悪いこと言ってないでお皿ぐらい並べてよ‼」

大きな声で私を叱るお母さん。
でも、その顔は笑っていた。
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