eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
大会参加の受付を済ますと、首から下げる名札を渡された。
青龍杯ではプレイヤーはまず、半分に分けられる。
AブロックとBブロックのトーナメント方式だ。

そして、AとBの頂点に立ったもの同士で……決勝が行われる。

私はAブロックになった。

ソウマさんは私の名札を見ると「あちゃー」と声を出す。

「どうしました?」

「いや、ちょっと番号の引きは残念だったね。マンダムもAブロックだ」

……そうだ。今日はマンダムさんとも戦わなければならない。
マンダムさんにとっても今日は初の公式大会。とても大事な試合になる。
友人と戦わなければならないのは、プロゲーマーの世界ではざらにあること。
だけど、いざ自分がそのような場面に置かれると、少しだけ気が引けるのも事実だった。

ヤマトは会場を一瞥すると言った。

「関係ないさ。どうせ今日、ハルは全員を倒すんだから」

ヤ、ヤマトのこの自信はどこから来るんだろう。
でも、そうだよね。優勝を目指してるのに、最初から気持ちで負けてちゃだめだ。


順調にいけば、マンダムさんとは3回戦目で当たる。

「じゃあ、僕たちは観客席から見てるからね。変なやつがいたら、叫ぶんだよ」

……ふたりがいてくれることが、こんなにも心強いなんて。

スタジオの奥には大きなモニターがある。今日、私もあそこで戦うんだ。

私は自分の頬をはたく。さぁ、ゲーム開始だ。
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