eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
病院に併設されている喫茶店に入って、私達を話しをすることにした。
あたたかいココアが運ばれてくると、ヤマトは小さな声で話し始める。
「ソウマからどこまで聞いたかわからないから、順を追って話すことにする。まず、じいちゃんが脳梗塞で倒れたんだ。それで、ちょっと危ないところの血管が詰まったらしくて、まだ意識は戻ってない」
「うん……」
冷たい手をココアで暖めるように、ヤマトはカップを撫でる。
「そのとき、ちょうどじいちゃんの家にいたんだ。じいちゃんが大きな声を出したから急いで見に行ったら、すでに倒れてて。救急車を呼んで、すぐ手術になって……」
カップをぎゅっと握る。
ヤマトは、そのときどんなに心細い気持ちだったろう。
「ドクターに言われたんだよ。もしものことがあるから、大切な人にすぐに連絡してくださいって。でも、じいちゃんの交友関係なんて俺なんにもわからない。急いで家に帰って、じいちゃんの手帳を見たんだ」
「うん……」
「そしたら母さんの写真と、電話番号があった」
「――え、お母さんってたしか……」
「うん、失踪してた。でも、じいちゃんは連絡先を知っていたらしい。今思えば、当たり前だよな。じいちゃんにとっても、たったひとりの娘なんだから」
「それで……どうしたの?」
「ふたりの間でどんな話があったかはわからない。でも、じいちゃんが死ぬかもしれない。怖いし、どうすればいいのかわかんないけど、とにかく伝えなきゃダメだと思った。だから、電話をかけたんだ」
ヤマトのお母さんは、ヤマトにひどい言葉をかけて家から出ていったのは聞いている。
そのことで、ヤマトが女性を苦手になったんだ。
「そしたらさ、繋がったんだよ。で、病院に来るって」
ヤマトの手が震えてる。
「で、しばらくはこっちにいたんだけど、今日帰った」
「うそ……でしょ?」
「疑いたくなるのもわかるよ。『亡くなりそうって聞いたけど大丈夫そうじゃない。また亡くなったら連絡して』だって。今日、駅まで送ってきた」
……じゃあ、今日ヤマトの隣にいた女性は。
私のなかで途切れ途切れになっていた点が線になっていく。
ヤマトが心細くて、苦しくて、壊れそうなときに、ヤマトのお母さんは何をしているの?
あまりにも、あまりにもむごい……!
「春菜、泣くなよ」
「だって……だって! 悔しいよ。こんなときに、ヤマトを独りにさせないでよ……! こんなのおかしいよ……」
「俺も、ちょっとびっくりした。でも、そんなおかしいと思うようなことが、きっとどこにだって転がってるんだと思う」
ヤマトの目には、涙が溜まっている。
だけど、それを零す前にヤマトは腕で涙を拭った。
あたたかいココアが運ばれてくると、ヤマトは小さな声で話し始める。
「ソウマからどこまで聞いたかわからないから、順を追って話すことにする。まず、じいちゃんが脳梗塞で倒れたんだ。それで、ちょっと危ないところの血管が詰まったらしくて、まだ意識は戻ってない」
「うん……」
冷たい手をココアで暖めるように、ヤマトはカップを撫でる。
「そのとき、ちょうどじいちゃんの家にいたんだ。じいちゃんが大きな声を出したから急いで見に行ったら、すでに倒れてて。救急車を呼んで、すぐ手術になって……」
カップをぎゅっと握る。
ヤマトは、そのときどんなに心細い気持ちだったろう。
「ドクターに言われたんだよ。もしものことがあるから、大切な人にすぐに連絡してくださいって。でも、じいちゃんの交友関係なんて俺なんにもわからない。急いで家に帰って、じいちゃんの手帳を見たんだ」
「うん……」
「そしたら母さんの写真と、電話番号があった」
「――え、お母さんってたしか……」
「うん、失踪してた。でも、じいちゃんは連絡先を知っていたらしい。今思えば、当たり前だよな。じいちゃんにとっても、たったひとりの娘なんだから」
「それで……どうしたの?」
「ふたりの間でどんな話があったかはわからない。でも、じいちゃんが死ぬかもしれない。怖いし、どうすればいいのかわかんないけど、とにかく伝えなきゃダメだと思った。だから、電話をかけたんだ」
ヤマトのお母さんは、ヤマトにひどい言葉をかけて家から出ていったのは聞いている。
そのことで、ヤマトが女性を苦手になったんだ。
「そしたらさ、繋がったんだよ。で、病院に来るって」
ヤマトの手が震えてる。
「で、しばらくはこっちにいたんだけど、今日帰った」
「うそ……でしょ?」
「疑いたくなるのもわかるよ。『亡くなりそうって聞いたけど大丈夫そうじゃない。また亡くなったら連絡して』だって。今日、駅まで送ってきた」
……じゃあ、今日ヤマトの隣にいた女性は。
私のなかで途切れ途切れになっていた点が線になっていく。
ヤマトが心細くて、苦しくて、壊れそうなときに、ヤマトのお母さんは何をしているの?
あまりにも、あまりにもむごい……!
「春菜、泣くなよ」
「だって……だって! 悔しいよ。こんなときに、ヤマトを独りにさせないでよ……! こんなのおかしいよ……」
「俺も、ちょっとびっくりした。でも、そんなおかしいと思うようなことが、きっとどこにだって転がってるんだと思う」
ヤマトの目には、涙が溜まっている。
だけど、それを零す前にヤマトは腕で涙を拭った。