6月の雪 ―Special Snowflake―

 重い気持ちのまま学校に行くと、そこにはさらに私の気持ちを落とさせるものが待っていた。

 下駄箱を開けると、中から雪崩のように落ちてきた手紙の山。

「……」

 それは定期的にやってくる嫌がらせの手紙だった。

「はぁ……」

 ため息をつくと、書き集めるようにその手紙を拾い、急いでカバンに詰め込んだ。

 今さら中身を見ることも、差出人を確認することもしない。だってそれは、『ブス、バカ、アホ、嫌い』まるで嫌がらせなんてしたことがない小学生のような、単純な言葉が並べられているから。

 原因はわかっている。

 私が蒼生くんの彼女ということが気に入らない女子からの嫌がらせは、こうやって時々あった。

 始めはさすがにショックだったし、誰が送ってきたのか気になって調べようともした。でも、よく考えてみたら、私はウソの彼女なんだし、こんな嫌がらせを本気で受け止める必要なんてないんだって思った。

 そう考えて割り切ることも悲しかったけど、本当に私は蒼生くんの彼女ではないんだもん。
 いつか、蒼生くんに本物の彼女ができたら、こんな嫌がらせも一瞬でなくなってしまうよ。

 それにしても2ヶ月に一回やってくる、この嫌がらせはなんなんだろう?

 みんな、そろそろそんな時期かって決めて、打ち合わせでもしてこんな手紙を入れてくるのかな?

 暇人だな。

< 92 / 280 >

この作品をシェア

pagetop