至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-

/SIDE







「――静日、」



おれが名前を呼んだのと、相手が球を突いたのはほぼ同時だった。

ラシャの上を勢いよく転がったそれは、かたい音を立てて赤玉にぶつかった。

軌道はぶれることなく、操られるようにしてポケットへ吸い込まれていく。



「ひゅう、相変わらずイレもダシも完璧だな」

「で、なに?」

「うん?」

「なんか言いかけてなかった、お前」



静かな瞳がこちらを向く。

底の見えない深い深い漆黒。


よく知った相手なのに、毎度どきっとさせられる。

ときめき、ではなく、畏れ。



「まだ龍泉閣には行かないほうがいい。出待ちの女がうじゃうじゃしてる」

「ん……どっちにしろ今日だーるいから顔ださねーつもりだったけど」


「それもそれで問題だよ。先月だって、静日が行かなかったせいでおれが怒られたし」

「お前を怒った奴だれ? 俺が消しとくよ」



漆黒が、すうっと妖しく弧を描く。

それだけのことで、背筋には冷たい汗が伝う。



「ジョーダンだって」
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