独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる

 二人は外見はクローンかドッペルゲンガーなのかと思うほどにそっくりだ。そしてこんなにも似ている二人の姿を見れば見るほど、どうしても気になってしまうことがある。

 それは奏一と見合いをして結婚することが決まった瞬間から、ずっと思っていたことだ。

「ねぇ、響兄さま」
「ん?」
「どうして、私じゃだめだったんですか?」

 結子の質問に、奏一の動きが止まる。響一が目を丸くする。

 それは恨み言や文句ではなく、単純な興味である。響一は結子の長年の憧れと恋心に気が付いていたはずだ。なのに結子を選んではくれなかった。その理由を、いつか本人から聞いてみたいと思っていたのだ。

 しかしいくら気になるからと言って、これを奏一がいない場所で聞くのは問題だ。結子にそのつもりがなくても何か誤解が生じたり、諍いの火種になってしまう可能性がある。だからもし質問をするときは、こうして奏一もいる場所で聞こうと思っていたのだ。

「いや……」

 頭のいい響一は結子の質問の意図をすぐに理解してくれた。けれど答えは渋られてしまう。だから実は、響一は結子に対して負の感情を抱いていたのではないかと思ってしまう。

 だが違った。こんなところで昼間から口にしていいのか? と前置きされたので嫌な予感はしたが、響一の口から滑り出た言葉は結子の想像以上に危険な誤解だった。

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