捨てられた聖女のはずが、精霊の森で隣国の王子に求婚されちゃいました。【改稿版】

 幸いなことに屋内ではないので、落下物はないだろうと思ってはいた。暫くすれば、揺れもすぐにおさまるだろうとも。

 けれどもその予想は大きく外れてしまう。

 運が悪いことに、しゃがみ込んでいた地面が再び轟いた物凄い地鳴りとともにパックリと割れて陥没してしまったのだ。

「ギャーーッ!?」

 悲鳴を放った私の身体は陥没してしまった地面もろとも、割れ目の奥底へと真っ逆さまに転落していく。

 藁をも掴む思いでなんとか手を必死に伸ばすも、遙か遠くに見える星がキラキラと煌めく夜空が見えるだけで、何も掴むことなどできなかった。

 不思議なことに、大きな地震に巻き込まれて地面が陥没したはずなのに、土や岩に埋まることもなく、浮遊したまま落下していく身体にもまったく痛みは感じられない。

 ーーきっと、もう死んでるんだ。

 そう悟った刹那、身体がふわりと浮かんで辺り一面が煌々と眩い光に包まれた。

 ーー今度は何? もしかして天国?

 そんなことをふと思っていると、視界を支配していた眩い光の粒が弾け、打ち砕かれるようにして瞬く間に霧散した。

 寸前に、何かの本の挿絵で目にした魔法陣のようなものが描かれた大理石の床が見えて、けれどすぐにふっと蒸発でもするかのように跡形なく消え去ってしまう。

 代わりに、いつしか冷たい床にしゃがみ込んだままでいる私を取り囲むようにして立っている、あたかもおとぎ話にでも登場してきそうなコスプレ姿の彫りの深い西洋人とおぼしき十人前後の男性らが現れた。

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