美琴ちゃん、大丈夫?
見上げたキヨマサ君の顔はニコニコ嬉しそうに笑ってる。




「あー!やっぱりそうなんだー!」



「…えっと…、」



今ここで正直に言うべき?

でも、いつも好き好き言われてるけど返事を欲しいって感じじゃないし…

どう言えばいい?



「もしかして俺との噂のこと気にしてる?」


「え?」


「俺と柊さんが付き合ってるっていう噂!そんなわけないのにね!あ!俺が誤解を解いてあげようか!?」


そう言うなりキヨマサ君はもう随分先にいる時山君の方へ長い足を進めようとする。


「え!?待って、待ってキヨマサ君!」


「はい!待ちます!」


突然くるっと回って敬礼するキヨマサ君とぶつかってしまい、キヨマサ君が私の肩を持って支えた。


「わわ!ごめんね柊さん!」


「私こそごめん。…キヨマサ君、あの…いいの?」


「ん?いいのって、何が?」


「いや……キヨマサ君は、その…私の、こと…」

なんか、自分で言うのは気が引ける。


「?」


キヨマサ君は私の肩を持ったまま真剣な眼差しで私を見る。


「私のこと、好き、なんだよね…?」


「うん!大好き!」


キレイな歯並びの歯をニカッと見せて、満面の笑みなキヨマサ君。


「…じゃあどうして?」


「んん?どうしてって?」


キヨマサ君は本当にわからないみたいで、首を傾げる。


「えーと…ほかの男の子とのことを応援するようなこと、するのはどうして…?」


あー!と合点がいったようで目をキラキラさせて言った。


「推しを応援するのは当たり前でしょー!」


「推し?」


「うん!推し!」


キヨマサ君は私の肩から手を離して膝を突いて片手を胸に、もう片手を崇めるように私に向けた。


「柊さんは俺の推し!もし柊さんがアイドルだったらいくらでも貢ぐんだけど、そうじゃないから柊オタクとして好きな人との恋路を最大限応援するのは当たり前の話だよ!」


そう言ってグッドサインを作ってピカピカな笑顔を添えた。
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