美琴ちゃん、大丈夫?
「ん?あれっ、時山どこ行った!?」




いつの間にか時山君御一行は駅の中に入っていってしまったみたいだった。


「俺行ってくるよ!」


キヨマサ君が駅へダッシュしようとする。



「あ、え、待って…!」


「はい!待ちます!」


またキヨマサ君が突然振り向くのでぶつかってしまって「おっとっと」と私を支えてくれる。

「あの…大丈夫。うん。今日はこのままで…うん。」

「そう?」

「うん。」



歯切れ悪い私を、キヨマサ君は伺うように見る。


わざわざ『付き合ってません』って言いにいったところで『だから?』ってなったら嫌だし…
いま時山君に会ったら、さっき感じた怒りをぶつけてしまいそうで。


駅までの道をキヨマサ君と2人、並んで歩く。


今日はもし私がアイドルだったら、という妄想を披露してくれている。

メンバーカラーが赤か青かで悩んでいるところで、駅前に入る角を曲がった。

「冷静に見えるから青っぽいんだけど、実はうちに秘めた熱い情熱とエースの風格が赤……あ」


キヨマサ君が前方に何かを見つけた。



私もキヨマサ君の視線の先を辿る。



「…!」




駅の改札に続く階段下の柱にもたれ、腕を組んでこちらを見ている。






「…時山、くん…。」




油断していた私の心臓がビクリと揺れた。






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