美琴ちゃん、大丈夫?


「…」




時山君は、一度言おうとした言葉を飲み込んだ。

もう一度深呼吸する。

そして、

曇りひとつないキレイな目で、鼻の詰まった甘い声を出した。








「…俺、柊さんのこと、もっと知りたい。





知りたいし、触って確かめたい。


ここにいるって。






俺なんかが言うの、おこがましいってわかってるけど…、






好きなんだ。






柊さんのことが、





好き。」











オレンジが全てを柔らかく映そうとするので


私のモヤモヤした諸々も柔らかくほぐされて


ただただ純粋に


私を好きと言ってくれるこの人の目に吸い込まれた






「絶対、大事にする。





俺と…、





付き合ってくれませんか…?」







ゴンドラはちょうど頂上に達して、

私の視界には青からオレンジにグラデーションする広い、広い空と時山君。








なんて、


キレイなんだろう。








嬉しい気持ちがじんわりと胸に広がっていく。






時山君がそっと私の手を触って、確かめるように握った。








…なんだか、いろんなことがどうでもよくなってきた。




ここ最近感じたいろんな違和感も、


私にしか見えない子猫のことも、


胸が詰まるような夢のことも、


昨日の電車でのことも。




よく分からないことなんか全部忘れて



この人に大事にしてもらえる幸せを感じて生きていけたらそれでいいんじゃないかな



このまま流れにのって



思うままに生きていくのが私の幸せなんじゃないかな





私はゆっくり近づく時山君の気配に目を閉じた。






















『…』








『…ちゃん』








…?








『み……ちゃ…ん』




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