美琴ちゃん、大丈夫?





『日下部、打ちました!

打球はまっすぐ伸びて伸びて…


どうだ……ッ?



…入った!!

入ったぁー!!!!

フェンスを越えてスタンドに入りました!!!!

大浦高校、日下部清正!さよなら逆転ホームランー!!!!』





ウワァァーー!!!!という歓声と、キヨマサくんがよっしゃァー!!!!と両手でガッツポーズしながらホームを回る姿がテレビから流れてくる。




「…」




私と兄は顔を見合わせて、ソファから立ち上がった。



「「やったー!!」」



兄とハグしてハイタッチする。




キヨマサくんすごい!


こんなすごい人だったなんて!


今度サイン貰おうかな!?





『これで大浦高校、晴れて甲子園への切符を手にしました。おっと、本日大活躍のエース日下部、仲間に抱きつかれながらカメラを指差してすごい勢いで何か叫んでますね?』


『なんでしょう……さーん?いーあぎさん?……あ、カメラ寄ってってますね』





テレビの中のキヨマサくんと、目が合う。




キヨマサくんがカメラを掴んだらしく、画面がガサガサッと揺れた。


『ひ、い、ら、ぎ、ッさぁぁぁあん!!!!!!!』





「…」




兄がゆっくり私を見る。






『ぃやったぞぉぉぉーーーー!!!!!!
結婚して、くれぇぇぇーーーーー!!!!!!!』






画面いっぱいに映るキヨマサくんは、ものすごい形相で





やっぱりイケメンとはほど遠かった。
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