振られた私を御曹司が拾ってくれました。


今朝は週に一回の、スイーツ開発部全体ミーティングの日だ。
ミーティングを終え、仕事を始めようとした時、受付の女性から私に電話が入った。


「葉月さんへ来客です。お約束はないようですが、高橋様という男性です。」

「…高橋さん?それではすぐに受付に伺います。」


高橋さんとは誰なのだろう。全く思い当たる人は居ないが、私は受付へと向かった。

すると、受付の横にあるソファーには、濃紺のスーツを着て、眼鏡をかけた男性が座っていた。


「お待たせ致しました。葉月です。どのようなご用件でしょうか?」


その男性は何も言わず、鞄から少し厚みのある封筒を取り出した。
表情を変えずに、淡々と話を始める。


「私は氷室家で執事をしている、高橋と申します。今日は葉月様にこちらをお渡しするために参りました。」


差し出された封筒の中を確認すると、そこには驚くものが入っている。


…お金…札束だ。


「こ…これは…どういう事でしょうか!」



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