【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)

 まぁー。
 たまにみられる怪しげな薄ら笑いは、鬼というよりかは、悪魔や言ったほうがしっくりくるかもしれない?

 ちょっとだけ独特な、私たちグループセクレタリーのトップである。

 特段、私は嫌な人だと思ったことはないんだけどね。

 だって――。

「良かったね、桜」

 朝礼を終えたあと、友子がニヤニヤと肘でつついてから坪井さんと個別役員室へ向かう。

 もう……。少しくらい隠して欲しいな。

『業務はもちろんのこと、あなた方の緩んだ態度も指導したほうがよさそうですね……。よろしくお願いいたします。――では』

 手早く挨拶を済ませ、秘書フロアを後にするダークスーツの後ろ姿を思い出すと、きゅっと胸の奥が詰まる。
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