秘書室の悪魔とお見合いをしたら〜クールな秘書と偽装結婚することになり、いつの間にか愛でられていました〜
「なっ! お前っ! ロボのくせに、恥ずかしげもなく、堂々と惚気やがって……!」

って! 藤森さんまでなに赤くなってるの!

さっきまで関係を疑っていたくせに!

直後、会長の前であることを思い出したようで、ゴホン!と慌てて咳払いをしている。

「はっはっは! 仲が良くてなによりじゃ」

「そ、そうですね。まさかムッツ…島田がこんなことを言うなんて、ガハハ……」

色々と隠しきれていない。

「会長のお引き合わせのおかげです」

なんて、智秋さんは戻ったポーカーフェイスで、嬉しそうな会長と動揺を隠しきれていない藤本さんにそう返し、再び話しに花を咲かせはじめるけれど。

あれ……いつ、離すのだろう。

テーブルの下では、彼の骨ばった大きな手が、私の手をすっぽり握ったまま。

それとなく覗いて確認したけど、うん、会長はもちろん藤森さんからも見えない。
繋ぐ必要性はないはずだ。
なら、なんで……?

けれども待てども待てどもその手が開放されることはなくて――

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