秘書室の悪魔とお見合いをしたら〜クールな秘書と偽装結婚することになり、いつの間にか愛でられていました〜
この人が例のクリスか。会長のいった通りカッコいい……。ちゃんと挨拶しなきゃ。
「おはようございます、はじめまして、私――」
一度足を止めて、挨拶を交わそうとした。その瞬間――
「――やっぱり! キミ、サクラ? サクラだよね!!」
「へ……?」
パチリと視線が合った直後、なぜだか彼は流暢な英国語とカタコトの日本語を交えながら、そう連呼してきて、体当たりするかのように飛びついてきた。
「ひゃあっ!!」
身構えることもできず、あっと言う間に、自分よりも四十センチほど大きな男性に肩を鷲掴みにされ逃げ場を失う私。悪気がなさそうだけれど、勢いがすごくて戸惑う。