秘書室の悪魔とお見合いをしたら〜クールな秘書と偽装結婚することになり、いつの間にか愛でられていました〜
……いったいどういうことだ。
突然、廊下で見知らぬ男性に名前を呼ばれ、抱きしめられる私。
頭は大混乱のキャパシティオーバーだ。
「あっ、あの! ちょっと、待ってください――」
とりあえず落ち着いて。
申し訳ないが、高級スーツを纏った大きな体をぐっと押し返す。
えっと、彼はカナダの人だよね……。
外国人上司にはファーストネーム呼び、フランクに接するのがマナーだ。脳内で外資秘書の基礎をおさらいする。
まずは話を――!
「いやぁ、何年ぶりだ〜?!」
だけど、相手はそんなのお構いなし。今度はガシッと大きな手にひらに両手を握られ「ぴぇ!」と震える私。