秘書室の悪魔とお見合いをしたら〜クールな秘書と偽装結婚することになり、いつの間にか愛でられていました〜

「眠っていていい……。藤森さんから連絡をもらって、うちに連れ帰ってきたから」

「少しだけ……手、つないでて……」
 
 髪を撫でて言い聞かせると、枕元に座る俺に、ゆったりした動きで、シーツから白くて小さな手が伸びてくる。

 指を絡めて、ぎゅっと握った。
 満足したのか、そっと瞼を下ろしていく。

 胸が甘く震えるのを感じた。

「ゆっくりお休み……」

 起きてくれないかと……少しだけ期待したが、そんな幸せそうな顔をされると、起こせない……。

 力の抜けた唇に静かに口づけた俺は、ベッドを離れ、今日のミーティング内容を振り返りながらバスルームへと向かった。

 ――この勝負、負けるわけにはいかないからな。
 
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