秘書室の悪魔とお見合いをしたら〜クールな秘書と偽装結婚することになり、いつの間にか愛でられていました〜

言いたいことは、たくさんある。

私のことを買いかぶりすぎだ、とか。

どこからそんな自信が溢れてくるんですか?、とか。

そんな危ういお見合い、普通は勧めませんよ?とか。

そして……、私の想い、気付いていたりするんですか?とか。

けれども自信満々に言い放つ会長には、全てを納得させてしまうような不思議なパワーのようなものがあって。

私は反論のために開こうとした唇を、しだいに引き結んでいた。

「返事は意思が決まりしだい、メッセージでも入れてくれれば構わんから。それしだいであいつには、わしから声をかける」

信じられない状況に唖然としながらも、熱心な口説き文句に押されるようにして

「承知、しました」

気づけば、そう了承していた。

その後、どとこなくぼんやりしたまま会長と雑談を交わし、先に帰るように促され秘書室に戻った。

< 55 / 615 >

この作品をシェア

pagetop