輝きのままで
あまりに方向音痴すぎて、駅の近くで私はただ困っていた。

その時、ボトルのコーラを飲んでいた青年が声をかけてきて…

「さっきから大丈夫?何処へ行きたいの?」

その人がシュウジだった。

背が高く、優しい雰囲気の人。

彼はほんの少しだけ、年上のように見えた。

私は、年齢の近い男の人が特に苦手だったので、つい俯いた。

「そんな警戒しなくて大丈夫だよ。あ、そうだ」

そう言って、彼は学生証を見せてくれた。

「これで少しは安心した?」

そう言って笑った顔もまた優しげで。

彼もまた、郊外の大学に通う2年生だとわかり、その時に名前も知った。
< 5 / 59 >

この作品をシェア

pagetop